「新3K」で建設業界に新しい風を。若手や女性が自分らし く輝ける職場づくり株式会社タイシン工業は、神奈川県横浜市を拠点に、空調設備工事と電気設備工事を手掛けています。20~30代の若手を中心に、現場には女性や異業界出身者が多数在籍。掲げているのは「きつい・汚い・危険」という従来の3Kを「かっこいい・稼げる・感謝される」という新3Kに変えることです。その実現のために、採用、育成、制度設計のすべてにおいて、「やらせる」のではなく「やりたくさせる」環境づくりを大切にしています。SNSがつなぐ採用とカルチャーフィットここ数年、当社の採用活動にSNSは欠かせないツールになっています。InstagramやTikTokで、「#現場のリアル」「#建設女子」「#空調女子」といったワードとともに、日々の現場や社員の様子を発信しており、その投稿が応募のきっかけになるケースがほとんどです。例えば、今年入社した宮城県出身の24歳の社員。地元で偶然見たInstagram動画から私たちのことを知り、400キロ以上離れた横浜へ移住し、入社してくれました。外国籍社員や事務職の採用にもSNSは力を発揮していて、「旧来の建設業のイメージと違う」「同年代が多くて自分に合っていそう」という安心感につながっています。SNSを通じた応募は単に母集団を広げるだけではなく、カルチャーフィットの高い人材が集まるというメリットもあります。現場で活躍する女性職人や施工管理職の多くも、SNSで会社の空気感を感じてから入社してくれて、結果として定着率も向上しています。性別も経歴も関係ない、活躍できる現場づくり現在、当社では5名ほどの女性社員が活躍しています。中には、未経験から入社して2年間職人として働き、今では現場管理を担っているメンバーもいます。「女性に現場仕事は難しいのでは?」。そんなイメージがあると思いますが、工具が進化しているので体力面は昔ほど大きな問題にはなりません。資材の運搬は男性が担い、女性は軽作業や細やかな対応が求められる工程を担当するなどの分担もしています。力を使わない作業に集中することで特定のスキルが尖っていけば、むしろ、女性社員ならではの「強み」になるはずです。職人経験のない女性社員を現場管理として採用したケースもあります。本人の事務経験やコミュニケーション能力を踏まえて私から打診したところ、「やってみたい」と言ってくれてスタートしました。今では、現場を円滑に動かすキーパーソンになっています。男性中心の職場だと考え方も偏りやすくなりがちです。しかし、女性が増えたことで、それまでになかった視点からの意見が生まれ、会社全体に新たな気付きが広がっていると感じます。「目的」を共有し、自走できる人材を育てる当社では縦のラインを徹底していて、私から課長に伝え、それを現場に共有してもらい、細かい手順や方法までは指示しません。代わりに、例えば「協力会社さんが気持ちよく仕事できるようにしてほしい」というように、最終的な目的は明確に伝えます。どう行動するかは社員に任せる。そうすることで、自分で考え、判断し、行動する力が育ちます。協力会社への対応を例にとると、ある社員は関係性を深めるために単価を上げる判断をするかもしれないし、別の社員は相性の良い担当者を組ませる判断をするかもしれない。こうした自主的な工夫が、私が細かく指示するよりも本人の成長につながります。理念や方針の共有にもSNSを活用しています。特にYouTubeは教育用に制作しており、再生数や拡散を狙うのではなく、あくまで社内向けに理念や価値観を伝えることが目的です。TikTokやInstagramでは現場の様子や理念を自然に発信し、社員が自分の動画や仲間の活躍を見ることで、「自分の会社はこういう方向を目指しているのだ」と理解できるようになっています。押し付けではなく、社員が自然と情報を取りに来れることが、当社の理想とする自走できる人材の育成です。仕組み化と評価制度の進化で、組織を強くするここ数年、力を注いでいるのが、誰かが欠けても業務が回る仕組みづくりです。見積もりソフトの刷新や名刺管理アプリの導入など、インフラ面を整えるのはもちろん、現場作業のマニュアル化も進めています。もちろん、組織としての安定性を高める目的もありますが、何より、「トップが直接関与しないほうが伸び伸び働けて、成長しやすい」――それが私自身の経験から言えることです。人事評価制度も進化させています。現在は自己評価・上司評価・社長評価を組み合わせた三者評価をExcelで運用していますが、今後はより客観的な指標を取り入れる予定です。構想段階ですが、AIを活用して感情的なバイアスを減らしたり、あるいはテスト形式でスキルや知識を測る仕組みを導入したり、今以上に、社員が納得感を持って働ける環境にしていけたらと思います。「支店制度」と「柔軟な働き方」で人的資本を広げる2024年に入り、新たに支店制度を導入しました。個人事業主や小規模事業者を「○○支店」として迎え入れる制度で、売上の一部を本部に納める代わりに、看板や事務・採用支援を提供し、自由度の高い経営を行ってもらいます。これはM&A的な形で外部の人的資本やネットワークを取り込み、当社の影響力を広げる戦略ですが、同時に、社員一人ひとりの志向に合わせた働き方を提供するための取り組みでもあります。安定志向の社員には穏やかな環境を、成長志向の社員には積極的に挑戦できる機会を提供するなど、個々の希望に応じた働き方につながればと考えています。SNSでの発信を続ける中で、「Instagramを見ています」などお声がけいただくことが増えてきました。企業の認知度向上は、現代のビジネスにおいて非常に重要ですが、私たちの目的は単なる知名度向上ではありません。当社が「社員にとって良い会社」を追求し、その姿勢が社会に伝わることで、建設業界全体への見方が変わるきっかけになればと願っています。当社が業界のイメージを変えるパイオニアとなる。その未来は必ず実現できると確信しています。【企業情報】株式会社タイシン工業代表取締役:櫻田泰本社住所:〒241-0014 神奈川県横浜市旭区市沢町521HP:https://www.taishinkogyo.info/設立:2017年